歯周病菌で骨が溶けるのか?【防衛反応によって吸収される】

歯周病の豆知識

積み木

歯周病は骨が溶ける病気であることは間違いありません。
実際に歯を支える歯槽骨が溶けて(吸収されて)いき最終的に抜けてしまうからです。

 

しかし、よくよく考えてみると骨を溶かしているのは歯周病よりも虫歯の方が一般的な認識ですよね?
調べていても歯周病菌が骨を溶かす毒素を出しているという話はありませんでした。

 

なぜ歯周病菌は歯を支える歯槽骨を後退させてしまうのか?
納得ができる話があったので紹介したいと思います。

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歯周病菌が侵すのは歯肉

歯周病になって一番怖いのは最終的に抜歯を迫られることです。
この点については当サイトでもなんどか紹介していますね。

 

なぜ抜歯をしないといけないのかは、歯を支える土台となる歯茎が歯周病菌によって侵されるからです。

WS000032出典:ウィキペディア>エナメル質

歯と歯茎の構造はこのようになっています。

 

歯茎のうち表面に見ている部分は歯肉(4番)と言われており粘膜でできてるのですが、その下には歯槽骨(6番)という骨が多く存在しています。
歯は歯槽骨に埋まっており最大50kgにもなる「噛む」という行為に耐えているのです。

 

歯周病菌は表面に見えている歯肉に棲み着いて悪さをしています。
主に毒素を出して炎症を起こしているのです。
この炎症が続くと歯槽骨が溶けて土台が弱くなり歯がグラグラになってきます。

シャープペンシル

そうなればシャープペンシルの芯を出しすぎたときと同じ、なんらかの衝撃でポキっと折れてしまうのです。
折れずに温存できていたとしても、すでに歯周病に侵されているので他に転移する危険性を避けるため抜歯を迫られることもあるでしょう。

 

このように歯周病の最終的な姿は歯がなくなるということです。
結局のところ問題は歯肉側にあるのであって、骨には直接影響を与えているものではありません。

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骨を溶かすのは虫歯や酸蝕歯

虫歯が口内に存在するとその部分が真っ黒に変色して歯が溶けていきます。
歯医者で虫歯を目指する場合は黒い点を見つけるそうですね。

 

虫歯の代表でもあるミュータンス菌は糖をエサにして活動し、乳酸など酸性物質を作り出して歯を溶かしていきます。
歯の周囲にはエナメル質という体内では最も固いと言われる組織に守られています。

 

丈夫さでは体内では最強なのですが、酸性には非常に弱く虫歯など酸性物質を出すものにはあっさりと負けてしまいます。
虫歯以外にも歯を溶かす要因はあります。
それが酸蝕歯と言われるものですね。

炭酸飲料は歯を溶かすと昔から言われています。
酸性・アルカリ性を示すpHが5.5以下であると歯が溶けやすいとされています。

WS000001出典:歯が溶ける! 酸蝕歯を知っていますか? |綾瀬 相原歯科医院|最先端の治療を綾瀬

炭酸飲料の代表であるコーラはpHが2.2となっており歯が溶けやすい液体であることがわかります。
このように虫歯に限らず骨を溶かすものは身の回りには多いのです。

 

それでは歯周病菌が酸性の物質を出しているのか?
これについて調べてみたのですが、「毒素」としか記されていない場合が多く酸性の物質かどうかは確認できませんでした。
つまり、歯周病菌が歯や骨を溶かしているかどうかは怪しい部分があります。

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骨が逃げているという考え方

歯周病菌は酸性の物質を作り出しているかは怪しい部分があります。
しかし、現実的に歯周病に感染すると歯槽骨が後退して歯が抜けやすくなるのです。
これでは辻褄があいませんよね?

 

実は歯周病菌は存在せず虫歯が歯槽骨を溶かしているのではないかとさえ思えてきます。
(実際に虫歯が進行し過ぎると歯槽骨を溶かすことはあるようです)

これについては村津和正先生の著書で解説がありました。
95ページに『歯槽膿漏は「歯が菌から逃げる病気」』という節があります。
歯周病菌が骨を溶かすのではなく、骨自体が逃げているという考えです。

上記の記事でも触れていますが、昔の人は固いものを食べることで歯槽骨が後退しても歯の長さが適切に保たれていたと見られています。

 

そのため現代のように歯がポキっと折れることは少なかったみたいです。
歯は唾液に含まれる再石灰化成分で常に元に戻るように働いているのですが、環境が変わればそれにしたがって再石灰化も変化する必要があります。

 

これは健康な状態だけでなく、歯周病に侵された歯茎も同じこと。
歯周病菌という脅威が歯肉に存在しているので、それに適応するため歯槽骨が逃げて一定の距離をとっているということです。

 

骨が溶けているのは事実ですが、それは歯周病菌が溶かしてしているのではなく修復力がコントロールしていることになります。
当然ながら免疫力が歯周病と戦うのですが、同時に歯槽骨を歯周病菌から遠ざける防衛反応をしているのですね。

 

歯周病によって歯茎が後退することを「吸収」と表現することがあり疑問に感じていました。
その原理は骨が細胞の入れ替わりによる修復過程において構造を作り替えてしまう、すなわち骨を吸収して再構築できないようにしてしまうことからきているのではと推測できるでしょう。

 

骨が吸収されていく=防衛反応

今回は歯周病で骨が溶けるというテーマで紹介してきました。
歯を溶かす原因となるのは虫歯が有名です。

 

こちらは当然ながら歯が溶けていく疾患になります。
虫歯が骨を溶かすというのは納得できる話です。

 

それと同じく骨を溶かしていくのが歯周病菌なのですが、歯周病菌が骨を溶かす毒素を出しているという記事は見ません。
歯周病は歯を支える歯槽骨が溶けていくことで歯がグラグラして抜歯を迫られたりするもの。

 

歯周病菌は酸性の物質を出して骨を溶かしていかなと話が噛み合いません。
これについては歯周病で骨が溶けるという考えではなく、人間側の歯周病の脅威から骨が防衛反応を起こして逃げていると考えるほうがよさそうです。

 

人間にはさまざまな防衛反応がありますが、その防衛反応によって歯が抜けやすくなってしまうのはなんともいえません。
そうならないように日頃のケアがやはり重要と言えます。

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